チャートによるテクニカル分析をメインにトレードを行っているチャーチスト、テクニカルトレーダーであっても、経済指標に出てくる用語の意味、機関の役割を知っておくことで、各通貨の動きをある程度予測することができ、より安定したトレードを行うことにつながります。
特に、大きな指標発表時の乱高下など、不確定要素が高確率で起きることが分かっているときは、トレード自体を避けたいものです。
- 米国にはサマータイムがあるため、指標発表時間に関しては、夏時間と冬時間を日本時間で表記しました。
- 世界のメジャー通貨ペアであるユーロ/ドルと、私たち日本人が最も取引する、ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円に関係するものに絞っております。
- 周期が決まっているものが多いので、経済指標のサイクルを覚えておくことをお勧めします。
目次
- BLS(Bureau of Labor Statistics)アメリカ合衆国労働統計局(米国雇用統計)
- ADP(Automatic Data Processing)雇用統計
- CPI(Consumer Price Index)消費者物価指数
- FRB(The Federal Reserve Board)連邦準備理事会
- FOMC(Federal Open Market Committee)連邦公開市場委員会
- ECB(European Central Bank)欧州中央銀行
- GDP(Gross Domestic Product)国内総生産
- GFK(Growth from Knowledge)消費者信頼感調査
- HICP(Harmonised Index of Consumer Prices)消費者物価指数
- IMF(International Monetary Fund)国際通貨基金
- ISM(Institute for Supply Management)供給管理協会
- IFO(Information and Forschung)Ifo経済研究所
- MBA(The Mortgage Bankers Association)米抵当銀行協会
- NFP(Non Farm Payroll)米非農業部門雇用者数
- PCE(Personal Consumption Expenditure)個人消費支出
- PMI(Purchasing Manager’s Index)製造業購買担当者景気指数
- PPI(Producer Price Index)生産者物価指数
- WPI(Wholesale Price Index)卸売物価指数
- ZEW(Zentrum fur Europaische Wirtschaftsforschung)ドイツの欧州経済センター
目次
BLS(Bureau of Labor Statistics)アメリカ合衆国労働統計局(米国雇用統計)
毎月第一金曜日
米国夏時間:日本時間 午後9時30分
冬時間:日本時間 午後10時30分の発表。
アメリカ合衆国労働省の1機関です。
労働市場の活動水準、労働条件、価格変動を調査集計し公表しています。
この機関が発表する指標がFXの世界では最大の経済指標といえる「米国雇用統計」になります。
ADP(Automatic Data Processing)雇用統計
米国夏時間:日本時間 午後9時15分
冬時間:日本時間 午後10時15分の発表。
米国の大手給与計算アウトソーシング会社のAutomatic Data Processing社の雇用調査レポート。
2006年から始まった割合あたらしい経済指標です。
雇用統計といえば、第一金曜日の米国雇用統計が有名ですが、こちらはその2営業日前に発表されます。
●農業系は雇用の実勢が不明瞭な部分もあるので、非農業系に分離することで雇用の数字をわかりやすくしています。
●市場の注目度が高い労働省による雇用統計の先行指標として注目されます。
CPI(Consumer Price Index)消費者物価指数
米国夏時間:日本時間 午後9時30分
冬時間:日本時間 午後10時30分の発表。
アメリカ合衆国労働統計局(BLS)が、都市部の消費者が購入する商品やサービスの価格の変化を調査して指数化したもの。
家計の消費構造を固定した値にして、物価の変動によってどのように変化するかを指数にしたもので、毎月作成されています。
●変動が激しい食品とエネルギー価格を除いた指数も同時に発表されます。
●PCEデフレータに比べると水準は若干高く出ることが多いのですが、CPIの方が速報性が高い特徴があります。
FRB(The Federal Reserve Board)連邦準備理事会
FRBは、日本における日銀と同じ役割を持つ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関です。
連邦準備理事会は、7名の理事から構成されています。
FOMC(Federal Open Market Committee)連邦公開市場委員会
米国夏時間:日本時間 午前3時
冬時間:日本時間 午前4時の発表。
アメリカ合衆国の金融政策の一つである公開市場操作(国債買いなどを行って金融機関の資金需給を調節すること)の方針を決定する委員会。
FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行総裁5名で構成されており、アメリカ合衆国連邦政府の金融政策を決定する最高意思決定機関。
●アメリカ合衆国の金融政策の一つである公開市場操作(国債買いオペなどを通じて金融機関の資金需給を調節すること)の方針を決定しています。
●この政策金利がFOMC政策金利になります。
ECB(European Central Bank)欧州中央銀行
欧州夏時間:日本時間 午後8時45分
冬時間:日本時間 午後9時45分の発表。
ユーロ圏19か国の金融政策を担う中央銀行です。
●指標で発表されるのは、この機関の最高意思決定機関であるECB理事会によって決定される政策金利となっており、こちらはユーロの政策金利になります。
GDP(Gross Domestic Product)国内総生産
米国夏時間:日本時間 午後9時30分
冬時間:日本時間 午後10時30分の発表。
こちらは社会の授業や一般ニュースでもよく出てくる言葉ですね。
国内総生産=国内で新たに生産された財やサービスの付加価値を合計した名目GDPから、物価変動の影響を除いたもの。
●米商務省経済分析局から四半期ごとに、速報値、改定値、確報値の3回に分けて発表されます。
●速報値は当該四半期終了後の翌月末(1-3月期のGDPであれば4月末)に発表される。市場の注目度は速報値がもっとも高くなります。
GFK(Growth from Knowledge)消費者信頼感調査
ドイツの市場調査機関が発表する、GFK消費者信頼感調査。
●毎月中旬くらいに発表されますが、発表日が変更されることも多いのが特徴。
●ユーロ圏に影響力を持ちます。
HICP(Harmonised Index of Consumer Prices)消費者物価指数
欧州の消費者物価指数。
CPIの方も日本語が「消費者物価指数」なので、これに関しては英文の略語を覚えた方がよいでしょう。
●発表された数値のことです。ユーロは世界でも重要な位置づけとされるため、重要な指標と言えます。
IMF(International Monetary Fund)国際通貨基金
1944年(昭和19年)に創立が決定、1946年に発足した国際機関。
第二次世界大戦の原因の一つともいえる世界恐慌を起こさないために作られました。
●年1回、秋に開催される年次総会と総務会、原則年2回開催される国際通貨金融委員会(IMFC、International Monetary and Financial Committee)などがあり、日本銀行からも総裁が出席しています。
ISM(Institute for Supply Management)供給管理協会
資材調達・サプライチェーンマネージメント業務の向上を目的として教育・調査研究・情報提供などの業務を行う米国の非営利団体で、1915年に設立されています。
●全米の「製造業」350社の購買担当役員に対するアンケート調査を実施し、その結果を基に作成する景況感を表す指数がISM製造業景気指数。
IFO(Information and Forschung)Ifo経済研究所
欧州夏時間:日本時間 午後5時
冬時間:日本時間 午後6時の発表。
ドイツ5大研究所の一つであるIfo経済研究所が、全ドイツの企業を対象にアンケート調査を行い作成する集計結果がIFO企業景況感指数。
●ドイツ国内の製造業、建設業、卸売業、小売業などを対象に、現況と半年後の期待について5段階評価でアンケートを実施。現況指数、期待指数も同時に発表され、両者を基に総合指数が算出されます。
MBA(The Mortgage Bankers Association)米抵当銀行協会
米国夏時間:日本時間 午後8時
冬時間:日本時間 午後9時の発表。
米抵当銀行協会の個人の住宅ローン申請の件数を指数化したものが「MBA住宅ローン申請指数」。
1990年3月16日を100として基準にしています。
●しかし、あくまで『申請』となっているため、個人が複数申請しても、全て計算に含まれる点が問題。
●当指標が予想より強ければ、申請が活発に行われている事でドルが買われる傾向にあります。
NFP(Non Farm Payroll)米非農業部門雇用者数
アメリカの重要経済指標の一つで、農業部門を除いた雇用者数のことです。
雇用実勢が分かりにくい農業部門を除くことでアメリカの雇用動向を正確に把握することができます。
PCE(Personal Consumption Expenditure)個人消費支出
米国夏時間:日本時間 午後9時半
冬時間:日本時間 午後10時半の発表。
商務省経済分析局が発表する、個人の消費支出の変動分のうち、物価変動によるものを除くための指数です。
●一般的に重要視されるCPIに比べて、調査対象となる範囲が広いのが特徴。
●CPIが消費者調査によるデータを基にしているのに対して、PCEデフレータは企業調査によるデータを基に算出されています。
PMI(Purchasing Manager’s Index)製造業購買担当者景気指数
企業の購買部担当者が、好況なのか不況なのかどのように考えているかを総合して表した指数です。
製造業やサービス業の購買担当者を対象に、アンケート調査や聞き取りなどを行い、新規受注・生産高・受注残・価格・雇用・購買数量などの指数に一定のウエイトを掛けて算出しています。
●おのおのの経済圏でPMIは発表されています。国際的には米国のISMの発表するPMIが最も早い指標として注目されています。
PPI(Producer Price Index)生産者物価指数
毎月第2週(15日頃)
生産者が出荷した完成品や原材料などの価格変動を示す経済指標です。
ただし、日本では、生産者物価指数ではなく、卸売物価指数(WPI)を発表しています。
●生産者物価指数が与える影響としては、生産者物価指数が上昇すると、消費者が購入する物価も上がりインフレに傾くため、通貨が買われやすくなります。
●インフレが起こると、物価が上昇し、貨幣価値が下がってしまうため、バランスを整えるために金利を上げて貨幣価値を上げる対策を行います。
●その結果、通貨買いを招きやすくなります。
WPI(Wholesale Price Index)卸売物価指数
ドイツ国内の卸売業者が形成する販売価格を指数化したものです。
●数値が上がることで、対象国の通貨は買われやすくなります。
●ドイツ連邦統計局が発表しています。
ZEW(Zentrum fur Europaische Wirtschaftsforschung)ドイツの欧州経済センター
欧州夏時間:日本時間 午後6時
冬時間:日本時間 午後7時の発表。
ドイツのマンハイムにある民間調査会社である欧州経済研究センター(ZEW)が、向こう半年の景気見通しについてアナリストや機関投資家約350人を対象に行ったアンケート調査を基に算出したものです。
●調査対象月の当月中旬の発表。ドイツの経済指標の中で最も注目度が高い指標の一つであるIfo景況感指数よりも発表が早く、先行指標としても利用されています。
以上、いかがだったでしょうか?
日々指標をチェックしていると、ついつい重要度のABCとか星の数だけが気になってしまいますが、相関関係や発表時期のサイクル等を頭に入れておくと、より覚えやすくなり、予定も把握しやすくなるでしょう。
(文責/しゃけ)