FXに限らずトレードで勝ち続けることが難しい本当の理由は、大きく分類して5つあります。
結論から先に言いましょう。
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⓵一般社会の常識と相場の常識が真逆だから
⓶人間は確率論的思考を持っていないから
⓷プロスペクト理論
⓸サンクコスト理論
⓹資格試験もなくプロと同じ土俵に乗ることができてしまうから
それでは、詳しく解説してゆきたいと思います。
目次
⓵一般社会の常識と相場の常識が真逆だから
一般社会と相場の常識の違いの例はこちらです。
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一般:人生は努力と頑張りが大切と教えられて育つ。
相場:頑張っても何をしても事実は変わらない。
一般:ミスがあってもやり直しが可能。挽回のチャンスがある。
相場:一瞬の判断ミス、一回のルール違反で資金を飛ばす。
一般:勝つと嬉しい、負けると悔しい気持ちになる。それが人生の醍醐味でありモチベーションとなる。
相場:勝ちも負けも同価値なので、常に感情はフラットでいなければならない。感情の起伏があると正確な判断ができなくなる。
人として生きてきたなら、当たり前であり美徳とされることが、こと相場の世界では、マイナス作用を起こす邪魔なものとなってしまいます。
⓶人間は確率論的思考を持っていないから
サイコロの奇数と偶数の目の割合は50%ですが、数回振っただけでは、どちらかに偏りが出がちです。
しかし、100回1000回10000回と母数が大きくなればなるほど、誤差が無くなります。
確率とはそういうサイズのものであるにも関わらず、人間は10~20回ほどの短いスパンでしか考えられない傾向にあります。
例えば、勝率7割の優位性のある手法を学んだとして、確率論的には、30回連続で負けトレードが続くこともあるし、70連勝もありうるのです。
ただひたすらルール通りのトレードを繰り返すだけでよいのに、続く負けに心が耐えられなくなりルールを変えてしまったりルール違反をしてしまったり、連勝に酔って大きく枚数を上げたところでドローダウンに突入して、今までの利益をすべて飛ばすなどをしてしまいます。
それは、確率論が身についていないからこそ、やってしまう行動です。
⓷プロスペクト理論
prospect(期待、予想、見通し)
プロスペクト理論によると人間は、利益を目の前にすると、利益が手に入らないというリスクを回避しようとし、損失を抱えていると、損失そのものを全回避しようとする傾向があるといわれています。
例えば、
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質問⓵:
「100万円が無条件で手に入る」or「コインを投げて表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない」
質問⓶:あなたがすでに200万円の負債を抱えているとして
「無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる」or「コインを投げて表が出たら負債が全額免除になるが、裏が出たら負債総額は変わらない」
質問⓵での一般傾向:
ギャンブル性を避け確実に100万円が手に入る前者を選択する人が多い。(わずかな利益しか出ていないのに利確したがる)
質問⓶での一般傾向:
⓵でギャンブル性を避けた人のほとんどが、⓶ではギャンブル性の高い後者を選ぶことが実証されている。(全部をいっぺんに取り返したくなり、決めた目標で利確が出来ない、ナンピンをする、損切りをしなくなる)
さて、あなたはどちらを選びましたか?
⓸サンクコスト理論
sunk cost(回収不能原価)
人間が投資行動をとった結果、生じたコスト(時間・費用)が、後の行動に影響を及ぼすことをまとめた理論です。
人は途中で方向転換や事業撤退をした方がよいと分かっていても、「これだけ時間を費やし、多くの資産を投資してきたから撤退はできない!」と、感情が優先して行動の軌道修正ができない傾向があります。
あらゆる投資にはサンクコスト理論が働きますので、そのことを知り意識をすることで対策が可能です。
損切ができないとき、ストップを広げてしまったとき自問します。
「もし仮に、このポジションを持っていなければ、同じポジションを持つだろうか?」
ゼロベース思考に立ち返り、答えがNOならそこで手仕舞うことです。
⓹資格試験もなくプロと同じ土俵に乗ることができてしまうから
皆さんもご存知のように、証券会社の口座を開くのに大した審査はありません。
トレードは証拠金さえ用意できれば、いつでも始めることができてしまいます。
何の勉強もせずに、金融商品の売買を行うことができてしまうのです!
世界中のプロが存在する土俵に無防備に乗ったら、どうなるのかは想像つきますよね?
相手は個人だけではありません。
国や巨大ヘッジファンドもいるのです。
相場に参加するに値する、知識と技術テストが無いことが、トレードで稼ぐことを最も難しくしているようです。