FXと原油価格大暴落とコロナ禍の関係を分かりやすく解説します

この記事では、2020年3月9日以降の為替相場の大変容と原油価格の大暴落のからくりを、現役税理士トレーダー(445FXサロンメンバーつよ氏)の視点から解き明かしてゆく内容になります。

テクニカルトレーダーも、ファンダメンタルズを把握した上でチャート分析を行うことで、より深い分析が可能になります。

FXと先物取引のシステムの違い(納会日)

まず、先物取引には「納会日」が設定されており、NYは毎月納会で20日前後に行います。

これは限月の最終決済が毎月20日で、現物の受け渡しは月末になります。

MEMO
納会日(のうかいび)=最後の立会日
一般的には、期近の限月の取引が終了する「当限納会(とうぎりのうかい)」のことを言い、年末の最終営業日を「大納会」「年末納会」という。
値段が高かった納会日を「高納会(たかのうかい)」、安かった納会日を「安納会(やすのうかい)」という。

FXはロールオーバー方式といい、納会がなくなった新しい金融デリバティブです。

本来、FXにも納会があったのですが、利便性を考えて、納会をなくした形を開発した新しい商品になります。

MEMO
ロールオーバー方式=決済日繰り延べ取引
日本時間の朝7時(NY市場クローズ時点)で行われます。
その際に発生するスワップポイント(2国通貨間金利)を、売り/買い (SELL/BUY) という、翌営業日を決済日とした売り取引と翌々営業日を決済日とした買い取引を同時に行ない、決済日を繰り延べします。
買いポジションだけ売り取引を行なって翌日分を相殺し、同じ金額を翌々営業日に持つこと、それがロールオーバーの基本になります。

例えば、25倍でドル円を1万通貨保有している場合、納会では25万円で現物の受け渡しを行わなければいけません。

ただし、納会前に差金決済をした場合は、その受け渡しはなくなるということです。

原油価格大暴落の原因の一つは、素人トレーダーの無知

そして、4月20日。
原油が1バレル、マイナス40ドルを付けたのは、この納会日(決済日)をよくわからない素人達が、原油が安いからといって、買っていたのを狙い撃ちされた形です。


TradingViewより引用

4月20日までに差金決済をしていない場合、1ヶ月先の先物であれば、1ヶ月後に現物の原油を実際に買わないといけないことになります。

    そんなもの家に届いても保管できないので投げ売ったものの、先物の世界はプロが牛耳っているので、誰も買いを入れてくれないので(多分、わざと買わなかった)、1バレル、マイナス40ドルになっただけの話です。

素人は、納会(決済日)すら知らないので、多分、何が起きたか判らなかったと思います。

    本当はプロも1バレル10ドル以下は、喉から手がでるほど欲しい金額だったと思います。
    無理やり、暴落させて、二度と素人が相場を荒らさないようにしたので、その後は上がるだけなのですが、私も先物は素人なので、絶対に手は出さないようにしていました。

なので、納会(決済日)までに、差金決済をしないと、原油が本当に届きます。

世界の相場が大きく変わったXデーと新型コロナパンデミック

2020年3月9日(月)ですが、朝、相場が開く前から為替が暴落することはわかっていました。
何故かというと、原油が朝から暴落することがわかっていたからです。

3月6日(金)日本時間の夜中に、石油輸出国機構(OPEC)プラスの会合がありました。

結果は、サウジアラビアとロシアが原油の減産に合意出来なかった。

私は、原油の動向が非常に大事だったので、この時、原油相場を見ていました。

というか、中国武漢で新型コロナウィルスが発生した時から原油は見ていました。

6日のOPECプラスの会合後は減産合意が出来なかったことを受けて、原油は少し下落で、金曜日は終了しました。

私は、ホッとしてその日は寝ました。

が、週末にサウジアラビアのムハンマド皇太子が、増産を発表!

これで月曜日は、朝一から原油の暴落は確定。

原油が暴落すれば、いろんな商品が暴落します。

3月9日は、原油が一瞬で、1バレル50ドルほどから27ドルくらいまで暴落しました。

    通常、世界中の機関投資家は、株だけとか、原油だけをやっているのではなく、いろんな投資を行っています。
    当然、原油で大損したら、その補填を、他の商品で補填するので、原油のこれだけの暴落は、他の商品のぶん投げに繋がります。
    なので、株も為替も、ぶん投げが出るのです。
    しかも、2月24日からNYダウを震源地に世界中で株の暴落が起きていた最中での原油の暴落ですから、一気にいろんな商品のぶん投げが起きます。

これが3月9日の相場が始まる前からわかっていたので、月曜日は、早朝に起きて、暴落の準備をしていました。

ここで、重要なことは、何かの商品の暴落が起きれば、損失補填のため他の何かに波及するということです。

    相場は、単体で動いていません。
    いろんな物と連動しています。
    米国債が売られれば、株が買われるなど。

原油を何故、見ていたかというと、原油の暴落がどこかで起きると思っていたからです。

何故、そう思ったか?

中国で新型コロナウィルスが発生したからです。

中国は世界の製造工場です。

その世界の製造工場が、2カ月ほどまともに製造できない状態になりました。
当然、原油の需要は減ります。

trivia
原油価格が一番高い時期は、北半球が冬の時です。
寒いので原油の需要が高まるからです。

この原油の需要が高まっているときに、中国コロナで中国の原油の需要が落ちていたのです。

そして春がくれば、更に原油の需要は落ちます。

その前での、3月6日のOPECプラスの会合だったはずです。

これが決裂どころか、サウジのまさかの原油増産。

「何かが暴落すれば、損失補填で、他のものをぶん投げる」

これを知ってれば、このドル円の暴落は読めたはずです。(文責・つよ)